もともと痛風とは、高血圧・糖尿病などと同じく、長い間の生活習慣から発症する「生活習慣病」のひとつです。原因は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、肥満、運動不足、ストレス、遺伝などがあります。
痛風が怖いのは、もちろんその痛みもありますが、それよりは、薬を飲まなかったり、飲んでも不摂生をしたりすることから緩やかに起きてくる内臓の障害です。
すなわち、痛風を発症すると、足の親指付け根の痛みだけでなく、内臓が影響を受けて合併症を引き起こすことが多くなります。
その中で、最も影響を受けるのが腎臓です。

1、 健康を維持するための腎臓の重要な働きって?

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それにはまず、腎臓という臓器が、普段どんな働きをしているのかを知る必要があります。
腎臓は、そらまめのような形をした握りこぶしくらいの大きさの臓器で、腰のあたりの背中寄り、左右対に2個あります。
人は、生命活動をすると細胞が老廃物を作り出します。いわば「残りかす」ですね。
それは血液に乗って体をめぐりますが、その途中、腎臓を通るときに残りかすや余分な水分・塩分をフィルターで濾して排出します。それが尿です。
その一方で、体に必要なものは腎臓で再吸収し、体内に戻す働きをしています。

腎臓は、生命活動の結果、体から出た要らないものを排出し、要るものを再び戻すという、非常に大切な働きをしていることになります。
しかし腎臓は血液が大量に通るため、血液中に尿酸が大量にあった場合、尿酸をフィルターで濾しきれなくなってきます。

2、 高尿酸血症が原因の痛風腎とは

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痛風腎になるとどうなるか、濾しきれなかった尿酸が結晶化して腎臓にたまり始めます。これが「痛風腎」です。
すなわち痛風腎とは、腎臓のフィルターが尿酸で目詰まりを起こし、老廃物を濾すことができなくなるばかりか、腎臓そのものの働きが衰えてしまった状態です。
これは言うまでもなく、痛風になったのに適切な治療をしなかった場合に起こります。

なぜ適切な治療をせずに放置してしまうかと言うと、痛風の痛みそのものは大変なレベルなのに、発作が始まってから1週間もすると、嘘のように消えてしまうためです。
そのため、
「痛みが引いたから、痛風も治った」
と勘違いしやすいのです。

しかし痛風とは、体内での尿酸生成が増えている、あるいは尿酸排出がスムーズでない状態であり、いわば全身の病気です。

痛風治療で最も大切なことは、医師から処方された薬を飲むことですが、1週間して痛みがなくなってしまうと、ほとんどの方は薬を飲むことを忘れがちです。
それが落とし穴であり、薬を飲まないあいだに、痛風は静かに腎臓を痛め続けています。
それが痛風腎であり、これこそが、痛風を原因としておきる腎障害の代表です。

痛風腎の怖いところは、末期に到るまでほとんど症状がないところです。尿も十分に作られ、痛みなどもありません。そして放置して末期となってしまえば、透析治療をしなければなりません。

3、 クレアチニン値から分かる腎障害

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恐ろしい症状の痛風腎。そうならないためには、普段から自分の腎臓が正常に働いているかどうか、把握しておく必要があります。その最も分かりやすい方法は、健康診断の結果を見ることです。

社会人であれば、年に1回健康診断をするでしょう。結果は必ず本人に通知されますので、そこにある「クレアチニン」という項目に注意してみましょう。これこそが、腎臓の働きを最もよく表す数値なのです。

クレアチニンとは、筋肉内に発生する老廃物であり、本来であれば腎臓でろ過され、尿として体外に排出されます。よって血中クレアチニン濃度が高ければ、腎臓の排出機能が劣ってきているということになります。
目安は、次のとおりです。
クレアチニンの基準値
1.2mg/dl 未満腎機能はほぼ正常
1.2~2.0mg/dl 腎機能はほぼ中等度程度
2.0mg/dl以上 腎機能が低下している

ただし、クレアチニン値は腎機能がかなり低下しないと高くなりません。そこで、ひとたび痛風となったら、1.2を超えないように気をつけなければなりません。
私は10年以上前に痛風を発症していますが、今から5年前にクレアチニン値が1.1となり、そこで初めて腎機能の低下に気づきました。
1.1ですからあまり気にする必要はなさそうですが、以前の結果を調べてみると、ずっと1.0でしたので、わずかながらも腎臓機能が衰えてきていることになります。激しい痛みを伴う発作はなくても、改めて痛風の怖さを知りました。
では、腎障害を起こさないためには、どうすればいいのでしょうか。

4、痛風腎の予防改善に大切なのは、生活習慣の改善です。

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① プリン体を含む食物のみならず、食事の量全般を減らし、体重を落とす。

肥満を解消すると、尿酸値は確実に下がってきます。尿酸は体の老廃物ですから、体の細胞が少なくなれば、それだけ尿酸生成も減るということです。

② アルコールを減らす。

ビールのみならず、アルコールを分解する過程で尿酸はできます。ビールなら1本、日本酒なら1合まで、ウイスキーならダブルで1杯までを守りましょう。

③ 水分を十分とる。

尿酸を尿に溶かし、なるべく多く排出させるためです。
1日2リットル以上が目標です。

④ 痛風腎の場合激しい運動は控え、適度な有酸素運動をしましょう。

ウェイトトレーニングなどの激しい運動は、筋肉の活動結果である尿酸をたくさん作ってしまいます。
したがって、ウオーキング、水泳、ジョギングなどの有酸素運動を続けるのが理想です。

⑤ 痛風腎の改善のため薬は必ず飲む。

基本中の基本です。
医師から処方された薬を、決められた間隔で、決められた量、忘れずに飲みましょう。

一度腎臓を悪くしてしまったら、元には戻りません。痛風で最も怖いのは腎臓障害であることを認識し、治療に当たりたいものです。