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「病気になると薬を飲む」ことって基本のように思いますが、糖尿病では食事療法と運動療法が基本となり、
薬を使うのは食事と運動の基本の治療が上手く行かないときなのです。でも、「薬を飲み始めたからこれで安心。食事や運動にはもう気を使わなくても大丈夫。」ではいけません。

血糖を下げるための薬を飲んでいても、食べたいものを食べ、運動もせずにゴロゴロしていると血糖値はあっという間に高くなり、薬でも下げることができなくなってしまいます。そうなると糖尿病が進行して合併症にかかったり、インスリン注射が必要になったりとどんどん悪い方向に行ってしまいますよ。

それから、どんな薬にも必ず副作用がありますよね。糖尿病の薬にも例外はありません。気を付けて飲まないと重篤な副作用を起こすこともあるのです。

糖尿病の薬を飲む前に知っておきたいことをここでは、詳しく解説していきますね。

1.【経口血糖降下薬の作用】

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糖尿病は、「膵臓から分泌されるインスリンの量の減少」、「インスリンの効き目が弱くなるインスリン抵抗性」、「血糖値に関わる膵臓、肝臓、筋肉、内臓脂肪、腸、腎臓などの体の器官や組織の働きが障害されること」によって高血糖が起こる病気です。

糖尿病の薬物療法は、それらの要因に作用して血糖値を下げる働きを持つ経口血糖降下薬を服用し、血糖値を良好な値にコントロールする治療です。

処方されている経口血糖降下薬は数種類あり、それぞれ作用する働きが異なります。ここでは7種類の薬について、その作用別に詳しく説明していきます。

2.【インスリンの分泌を促す薬って?】

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<スルホニル尿素(SU)薬>

昔から用いられてきた薬で、膵臓のインスリン分泌量を増やして血糖値を下げる働きをします。

使い始めの時は効果が現れやすく、6時間以上の比較的長時間、作用する効果を持ちます。

肥満を促進する作用があるので、肥満体ではなく、食事療法と運動療法を続けているのにインスリン分泌量が少なくて空腹時の血糖値が高くなりがちな方に使用されます。
 
第一世代にジメリン、アベマイド、デアメリンS、ラスチノン、第二世代にダオニール、グリミクロン、オイグルコン、第三世代にアマリールなどがあります。

<速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)>

スルホニル薬と同様、膵臓に働きかけますが、分泌量を増やすというよりもインスリンの分泌スピードを速めて血糖値を下げる作用を持ちます。

服用後、短時間で効果が現れますが作用時間は短いので、軽症の糖尿病患者さんで、インスリン分泌量は足りているのに分泌スピードが遅くて食後の高血糖がみられる方に対して用いられます。

スターシス、ファスティック、グルファストなどがあります。

3.【インスリン抵抗性を改善する薬って?】

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<ビグアナイド(BG)薬>

肝臓で糖を作る働きを抑えること、筋肉のインスリン抵抗性を改善して糖の利用を促進すること、腸での糖の吸収を抑える働きをすることに作用して血糖値を下げます。

乳酸が血液中に溜まり、意識障害を起こす乳酸アシドーシスという副作用があり、脱水になりやすい夏の時期や発熱・下痢時などや高齢者、多量のアルコール摂取をする人は注意しましょう。

肥満でインスリンの作用が弱くなっている方(高インスリン血症)に用いられます。

ジベトス、メデット、グリコランなどがあります。

<チアゾリジン薬>

肝臓や筋肉、内臓脂肪に働きかけてインスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げます。

内臓脂肪型肥満で高インスリン血症の方に用いられます。

副作用に浮腫があり、心不全の方は使用できません。アクトスという薬があります。

4.【インクレチンの分泌を促す薬って?】

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<DPP-4阻害薬>

十二指腸や小腸に作用して、インスリンの分泌を増やすインクレチンの分泌を促します。また、血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑えて血糖値を下げます。

最近の薬で、食後の高血糖を下げやすく、一日の血糖値の変動が少ないという特徴があります。

グラクティブ、ジャヌビアがあります。

5.【ブドウ糖の吸収を抑える薬って?】

<αグルコシダーゼ阻害(αG-1)薬>

小腸に作用して、ブドウ糖を吸収する働きを抑え、食後の高血糖を予防する薬です。

Ⅰ型糖尿病患者や空腹時の血糖値が高くなく、食後の高血糖がみられる方に用いられます。

グルコバイ、アカルボース、ベイスン、ベグリラート、ボグリボースがあります。

<SGLT2阻害薬>

腎臓に作用し、糖が血液中に再吸収されることを抑えて尿糖の排泄を促し、血糖値を下げます。

食後の高血糖に良く反応して尿糖の排出が増えますが、その分脱水状態となりやすく、脳梗塞、心筋梗塞、ケトアシドーシスなどのリスクがあります。

体重が減少しやすいので肥満傾向の方に用いられます。

スーグラ、ルセフィ、デベルザ、ジャディアンスなどがあります。

6.【経口血糖降下薬使用時の注意点って?】

最も注意すべき症状は、薬が効きすぎて血糖値が下がりすぎる低血糖です。
重症時は意識障害や昏睡などの命に関わる状態となるので、眠気や冷や汗、顔面蒼白、眩暈、動悸、震えなど低血糖の兆候が見られた時には、早急にブドウ糖や砂糖水などを口にして対処しましょう。

風邪などの病気になった時も、急性合併症の発症や病気が重症化しやすいので早めに受診しましょう。

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