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糖尿病を語るに外せない血糖値ですが、最近は食後血糖値の重要性が言われているのです。健康診断などで一般的に測られる血糖値は、前の夜から10時間以上飲み食いせずに測る空腹時血糖値。ですが、この空腹時血糖値には問題がなくても、食後血糖値に問題が隠れている場合が多いのです!

食後高血糖の方は検査ではすり抜けてしまうので、今までと変わらない生活を続けていると糖尿病が進行して「ある日突然失明した」なんてことや、「動脈硬化が進んで脳梗塞に」なんてことが起こってしまいます。ここでは、今、注目されている食後血糖値について一緒に詳しくみていきましょう。

1.食後血糖値について

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<食後高血糖って?>

食後血糖値とは食後1~2時間の血糖値のことです。誰でも食事を摂ると血糖値は上がります。ですが、正常値の範囲内での上昇であり、血糖値が上がるとインスリンが分泌されるのでしばらくすると血糖値は下がります。

糖尿病の方は空腹時も食後も血糖値が高い状態が続きます。一方、空腹時の血糖値は正常範囲内のものの、食後の血糖値が糖尿病の方と同じくらいに200mg/dl以上の値まで大きく上昇する方がいるのです。これが食後高血糖です。

食後高血糖は糖尿病の危険サインです。放っておくと、いずれは空腹時の血糖値も高くなり、やがて糖尿病を発症します。しかし、食後高血糖はなかなか発見することができないから怖いのです。健康診断などでは、空腹時血糖値のみの測定の場合も多く見逃されてしまいがちです。血糖コントロールの指標となるHbA1cの値にも反映されないことも多いのでなかなか厄介なのです。空腹時の血糖値で初めて糖尿病型を示した人が実は9年前から食後高血糖だったというケースもあるぐらいです。

<食後の血糖値が高いとどうなるの?>

食後高血糖がみられても、「空腹時の血糖値が正常だったら大丈夫じゃないの?」「発症するまで9年もあるんだからその間は何も影響がないっていうことでしょ?」では済まされませんよ。

食後高血糖によって以下のような影響が出てきます。
動脈硬化を進行させる
糖尿病性網膜症のリスクが高まる
心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まる
を発症するリスクが高まる
認知症になるリスクが高まる

<食後高血糖と動脈硬化>

糖尿病の合併症のひとつである動脈硬化は食後高血糖と関係が深いと言われています。動脈硬化は血管の内腔が狭くなって血液の流れが途絶え、その先の組織に栄養や酸素が届かずに壊死する疾患です。心臓で動脈硬化が進むと心筋梗塞狭心症に。脳で動脈硬化が進むと脳梗塞となり、どちらも死亡する危険があり、たとえ命に別状はなくても体に麻痺が残ることもある大きな病気です。

食後高血糖が起こると血糖値を下げようとインスリンが多量に分泌されますが、インスリンの量が多くなりすぎると塩分や脂肪が体に溜まりやすくなる、血管壁の細胞が増えて内腔が狭くなるということがみられ、高血圧や肥満、動脈硬化の原因となります。肥満もまた動脈硬化を進める因子となり、インスリンの働きが弱くなるインスリン抵抗性も生まれて血糖値が下がりにくくなるので、互いに悪い影響を及ぼして動脈硬化を進めるという結果になるのです。

<食後高血糖はどうすれば発見できるの?>

空腹時血糖値だけでは見逃されることもある食後高血糖をどのようにして発見すればよいのでしょうか?

空腹時の血糖値が、
110mg/dl未満:正常型(100~109mg/dl未満:正常高値)
110~126mg/dl未満:境界型
126mg/dl以上:糖尿病型
とされます。

2.食後高血糖がわかる検査

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空腹時血糖値が126mg/dl以上だと糖尿病型となりますが、それ以下であれば正常型、境界型とされます。空腹時の血糖値が、正常型、境界型、正常高値の方でも経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が200mg/dl以上となり、糖尿病型と判定される人は糖尿病型と判定される方全体の半分近くを占めるのです。

空腹時血糖値が正常型、境界型でも再検査の指示が出た時は、「まだ大丈夫」と放っておかずに経口ブドウ糖負荷試験を受けるようにしましょう。

<経口ブドウ糖負荷試験って?>

経口ブドウ糖負荷試験は、10時間以上の絶飲食後、75gのブドウ糖を水に溶かした液体を飲んで、多くは2時間後の血糖値を測る検査です。経口ブドウ糖負荷試験2時間後血糖値が200mg/dl以上であれば糖尿病型と判定されます。

<グリコアルブミン検査って?>

グリコアルブミン検査とは血液中のタンパク質であるアルブミンが血糖とどのくらい結びついているかを調べる検査で、血糖値が高いほどグリコアルブミンの割合は大きくなります。基準値は11~16%です。

糖尿病の血糖コントロールの指標には欠かせないHbA1cは血液中のヘモグロビンが血糖とどのくらい結びついているかを調べる検査ですが、グリコアルブミンの方がヘモグロビンよりも早く血糖と結びつくので、食後の短時間の血糖値を知るにはグリコアルブミン検査が適しています。

血糖コントロールが安定していればグリコアルブミン:HbA1c=3:1ですが、血糖コントロールが悪くなってくるとその差は4:1以上に開きます。

<自己血糖測定>

食後高血糖を知る一番確実な方法は、自己血糖測定ですが、インスリン治療をしている方以外は保険点数上の問題もあり、なかなか行う機会がありません。血糖測定には専用の測定器や穿刺針、穿刺器具なども必要です。

<尿糖検査>

血糖値を自分で測定することなく、食後高血糖かどうかを知る方法があります。それが、尿糖検査です。尿糖検査は、尿に糖が混じってないかを検索する方法です。

尿糖検査で使用する試験紙は薬局などで買うことができ、食後1~2時間の間に試験紙に尿をかければいいだけですので手軽に始めることができます。尿糖検査で陽性となったときは血糖値が、160~180mg/dl時相当あるケースが多く、連日陽性反応がみられるようであれば病院を受診して詳しい検査を受けるようにしましょう。

3.食後血糖値が糖尿病合併症の鍵を握る?

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糖尿病患者さんの血糖コントロールの指標としてHbA1cは非常に需要な指標とされていますが、HbA1cの値が同じくらいの人でも、合併症が進行する方とそうでない方がいます。この差には、食後血糖値が関係していると言われています。空腹時血糖値だけではなく、食後血糖値をコントロールすることが糖尿病の合併症予防に有効であるとされ始めているのです。

食後血糖値をコントロールするためには、グリコアルブミン検査が有効な評価法であり、より短時間の血糖の変動を把握することが大切です。それだけではなく、血糖がアルブミン(タンパク質)と結合すること自体が血管障害の合併症の原因となっているとも言われており、今後のさらなる研究が期待されています。

食後の血糖値の上昇を抑えることは糖尿病発症の予防、糖尿病の合併症の予防、その他動脈硬化や癌、認知症などの予防にもつながるのです。

4.食後血糖値を上げないためには?

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・ 食生活、運動習慣、ストレスへの対処など生活習慣の改善をしよう
・ 食事の最初に食物繊維を摂って食後血糖値の上昇を抑えよう
食事の炭水化物の量を絞って食後血糖値の上昇を抑えよう
食後血糖値の上昇を抑えるα-グルコシダーゼ阻害薬や、速効型インスリン分泌促進薬、超速効型・速効型インスリン製剤などの薬物療法の使用

食後の血糖値をより良い値にコントロールするには、基本は食事、運動、ストレスフリーの生活です。食事も血糖値の上昇に注目して、血糖値を上げやすい炭水化物の量を少なくし、血糖値の上昇を穏やかにする食べ順を考慮しましょう。食後高血糖に対する薬物療法も行われています。医師の指示に従って薬物療法は進めていきましょう。