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血糖値は健康な人でもずっと同じ値ではなく、正常の範囲内で上がったり下がったりしています。けれど、ある時、血糖値が正常値の範囲を超えて高くなり続けてしまうと糖尿病となってしまいます。

血糖値が高くなった時に自分でもわかればいいのですが、そのサインが出ないのが糖尿病なのです。多くの人は、気づかないうちに糖尿病を発症してしまっています。血糖値を上げないためには、血糖値が上がる仕組みをしっかり学んで予防していきたいですよね。

ここでは、血糖値が上がる仕組みについて詳しく解説し、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

1.そもそも血糖って?

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<血糖の働き>

血糖とは、私たちが食べたり飲んだりした飲食物に含まれる糖質がブドウ糖として体に吸収され、血液中に溶け込んだ状態のことを言います。血糖は血液中を巡って体全体に運ばれ、脳や体を動かすためのエネルギーとして使われています。

<血糖値をコントロールするインスリンって?>

健康な人であれば、血糖の量はほぼ一定の値でコントロールされていて、飲食物を摂取した後は一時的に血糖が高くなりますが、1~2時間もすれば元の値に戻ります。

この血糖を一定に保つ働きをしているのが膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されているインスリンです。では、インスリンの働きをみてみましょう。

・ 全身の細胞に血糖を取り込み、エネルギーとして利用します。
・ 血糖をグリコーゲンとして、肝臓や筋肉に蓄える働きをします。
・ 肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンが分解され、エネルギーとして使われることを抑制します。
・ 血糖を脂肪の合成に用い、脂肪が分解されてエネルギーとして利用されることを防ぎます。

このようにインスリンは、体内の血糖コントロールに役立っていますが、「インスリンの分泌量が少ない場合」、「インスリンの働きが弱くなった場合」には、血糖値は高くなります。

<肥満だとインスリンの働きが悪くなる?>

実は肥満だとインスリンの作用が弱くなってしまいます。肥満にも皮下脂肪型肥満、内臓脂肪型肥満がありますが、ここで問題となるのは内臓脂肪型肥満の方です。そうです、皆様よくご存知のメタボリックシンドロームです。

消費エネルギーよりも摂取エネルギーの方が多くなり、血糖が増えると体は膵臓からインスリンをたくさん分泌して対応しようとします。しかし、インスリンの量が多くなりすぎてしまうと高インスリン血症と言って、腎臓や肝臓の機能異常や動脈硬化を起こします。強いては膵臓が頑張りすぎた結果、膵臓も機能低下を起こしてインスリンの分泌量は少なくなり、インスリンの効き目も弱くなるという悪循環が生まれるのです。

「インスリンの分泌量が低下する」、「インスリンの作用が弱くなる」ということが起これば、当然、血糖値は上がります。

2.血糖値が上がる食べ物って?

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「血糖値が上がりやすい食べ物は?」と聞かれたら、どんな食べ物を想像しますか?カロリーが高そうなステーキやフライドチキン、甘いお菓子やケーキなどでしょうか?

たしかに、ケーキやアイスクリーム、ドーナツ、菓子パンなどの甘いおやつは糖質を多く含み、血糖値が上がりやすい食べ物です。「洋菓子はわかるけど和菓子なら大丈夫でしょ?」と思われがちですが、あんこやせんべいもケーキと並んで糖質が高いのです。

ステーキやフライドチキンはどうでしょうか?牛肉や鶏肉自体は糖質が低いのですが、たっぷりの油で焼いたり、油で揚げたりする調理法によって糖質の高い食べ物となっていると言えるでしょう。炭水化物砂糖穀物などに糖質は多く含まれていますよ。

では、反対に「血糖値が上がりにくい食べ物は?」と聞かれたらどんな食べ物を想像しますか?カロリーの低い海藻やきのこ、緑黄色野菜などは糖質が低い食べ物ですが、芋類や人参、トウモロコシなどは野菜でも糖質が高いので要注意です。

ヘルシーだと思われているベーグルも糖質が高いので、パンが食べたいときは玄米パンやライ麦パンなどを選ぶ方がいいですね。魚や肉などのタンパク質も素材そのもののの糖質は炭水化物ほど高くはないのですが、たっぷりの砂糖を使う煮魚や煮豚、油で揚げるなどは糖質が高くなるので、シンプルに蒸す油を使わずに焼く茹でるなどの調理法で食べる方がいいでしょう。

<糖質の高い食べ物>

・ 1位 砂糖:グラニュー糖、白砂糖、三温糖、粉糖など
・ 2位 炭水化物:白米、パン、パスタ、うどん、ラーメン、芋など
・ 3位 果物:すいか、もも缶など

3.食事以外の理由でも血糖値は上昇する?

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糖質の高い食事を摂ると血糖値は上がりますが、他にも血糖値の上昇に関与する事柄があるのです。それは何か、一緒にみていきましょう。

<アルコール>

アルコール自体の糖質は少ないですが、ビールは麦、日本酒は米でできていますからビールや日本酒は糖質が多く含まれます。晩酌や飲み会の定番であるビールと日本酒は、コップからなくなりそうになったら注がれてしまうので、「気づいたら瓶ビール5.6本、日本酒3.4合は空けていた」なんてことが起こりやすく、量をたくさん飲んでしまいがちです。「適量であれば良薬」と言われるアルコールですが、飲みすぎると血糖値の上昇や内臓に負担を掛け体によくはありません。アルコールと一緒に食べる揚げ物などのつまみも血糖値を上昇させます。

<運動不足>

消費エネルギーよりも摂取エネルギーが上回ると、エネルギーとして利用されなかったブドウ糖が血液中に多く残ってしまうので血糖値が上昇します。今や日本は、エレベーターやエスカレーター、車などの交通機関の発展、ネットショッピングの普及などにより、自分の足で歩かなくても良い利便性の高い世の中となりました。それに加えて昔の食べ物がない時代とは違い、美味しい食べ物が溢れています。「動かないけれど、美味しいものをたくさん食べる」では、摂取エネルギーの方が上回り、血糖は高くなってしまいます。

では、食べなればいいのかというと、そうではありません。バランスよく食べて、積極的に運動することが必要なのです。普段、デスクワーク中心の仕事の方や主婦など自宅で過ごすことの多い人は、階段を使う、目的地まで歩くなど日常生活を少し活動的に変える意識改革が大切ですね。

<ストレス>

ストレスを感じると血糖値が上昇するって知っていましたか?人間の体はストレスを感じるとストレスから体を守るための防御反応として、いつでも戦闘態勢に入れるように交感神経を賦活させるためのホルモンが分泌されます。交感神経を活発にするホルモンには血糖値を上昇させる作用があるので、血糖値が上昇します。現代人は生活にも仕事にも忙しく、常にストレスと向かい合わせの状況にいます。ストレスを回避できればいいですが、なかなかすべてのストレスを避けることはできません。感じたストレスを抱え続けてしまわないように、ストレスを発散できる自分の方法を見つけられるようにしましょう。

<薬の副作用>

消炎鎮痛剤でも改善しない痛みの緩和や関節リウマチ、膠原病、喘息、アレルギー性疾患などの治療にステロイド剤が用いられることがあります。ステロイド剤の成分であるグルチコルチコイドは肝臓で糖を作る働きや、身体の末梢の組織で糖をエネルギーとして使用することを抑制する働きをもつため、血糖値を上昇させます。

<風邪など感染症にかかった時>

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風邪症状や発熱など、感染症にかかった時には、ストレスがかかった時と同じのホルモン(アドレナリンなど)やタンパク質であるサイトカインが分泌され血糖値を上昇させます。通常はインスリンが多く分泌され、血糖値を下げようと働きますが、糖尿病の場合はインスリン分泌が追い付かずに血糖値が上昇したままとなります。