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発症して、放っておくと失明足の切断突然死などの怖い合併症を引き起こし、一生続く透析治療も必要になってしまう糖尿病・・・。

一度糖尿病になってしまうと治すことは至難の業です。ですから、糖尿病にならないように予防すればいいのです。

どうすれば糖尿病は予防できるのでしょう?

2型糖尿病の原因ともいわれる肥満、運動、食事、ストレスについてと、気になるアルコールと糖尿病の関係、健康診断は糖尿病の予防に有効なの?ということについてそれぞれ、詳しく学習していきましょう。

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「糖尿病=太っている人」のイメージがありませんか?

肥満はずばり、糖尿病のリスクのひとつです。

肥満は糖尿病だけでなく、予後の死亡率が上がる高血圧や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病のリスクファクターでもあるのです。

肥満は健康のために、解消するに越したことはありません。

ここでは、肥満が病気を発症するメカニズムや肥満を解消する方法を解説します。

自分は肥満体かどうか?自分の1日の適正カロリーもわかる計算式も紹介していきますよ。
 

1.肥満とは

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肥満とは、消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーの方が多くなって、体内の予備の体脂肪率が過剰に増えた状態です。

<あなたの肥満度合いがわかる計算式>

肥満の度合いは、体格指数(BMI)を使用して測ることができ、

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

で表されます。

BMIによる肥満の判定基準は、
・ BMI18.5未満=やせ
・ BMI18.5~25未満=ふつう
・ BMI25以上=肥満
・ BMI22=標準体重

理想体重=身長(m)×身長(m)×22で表され、例えば身長160㎝の人であれば、理想体重は1.6×1.6×22で56kgとなります。

BMIが25以上になると高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病になるリスクが高まり、BMIが27になると糖尿病を発症するリスクは2倍となることが研究結果でわかっています。

すでに糖尿病を発症している場合は、他の合併症なども考慮して、主治医の判断がされますが、糖尿病の予防には理想体重を目標に体重コントロールを行うと良いでしょう。

2.肥満のタイプって?

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肥満は体の中の体脂肪がどこにあるのか、どのくらいの割合を占めているのかということが重要なポイントとなってきます。

一般的な体脂肪率は体重の20~25%であり、脂肪は体につく部分によって皮下脂肪内臓脂肪に分けられます。

<女性に多い皮下脂肪型>

女性に多くみられる皮下脂肪は、皮膚の下にあり、外からの刺激や気温の変化から体を守り、体温を一定に保つ働きをしています。皮下脂肪は腰周りやお尻、太腿などの下半身につきやすく、洋ナシ型肥満ともいわれます。

<男性に多い内臓脂肪型≒メタボリックシンドローム>

男性に多くみられる内臓脂肪はお腹周りにつきやすく、真ん中が膨れた外見からリンゴ型肥満ともいわれます。内臓脂肪は内臓の位置を保つ働きをしていますが過剰に溜まると体の代謝を悪くして、糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクが高くなります。この状態を内臓脂肪症候群、メタボリックシンドロームといいます。

最近では内臓の中に溜まる異所性脂肪の存在も注目されており、内臓脂肪が多い方に併発する傾向があります。

3.肥満と糖尿病の関係

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<高インスリン血症って>

肥満は摂取されるエネルギーが過剰に多くなる事態のため、体の中の血糖を細胞に取り込んでエネルギーに変えて消費したり、貯蓄したりする糖代謝の働きが活発になり、インスリンをたくさん必要とします。体の中にインスリンがたくさん出回っている状態を高インスリン血症といいます。

高インスリン血症となると、膵臓のβ細胞はインスリンの分泌を増やして対応しますが、インスリンがある一定の量を超えるとインスリンを取り込む細胞が対応しきれなくなり、
血糖を消費したり貯蓄したりする効率が悪くなってしまいます。この血糖の処理の効率が悪くなることをインスリン抵抗性といいます。この時点で糖尿病の発症となります。

<高インスリン血症になると>

肥満となって肥大した脂肪細胞からはインスリンの効き目を低下させるサイトカインなどの物質が放出され、やがて膵臓のβ細胞に障害が起こり、インスリンの分泌自体が不足し始めます。

膵臓のβ細胞にまで障害が及ぶと糖尿病は重症化し、経口血糖降下薬インスリン注射などが必要となります。

肥満は糖尿病のリスクの他、過剰な脂肪が血液中に残り、脂質異常症や動脈硬化、高血圧などを引き起こして脳梗塞心筋梗塞の原因ともなります。

4.肥満が原因の糖尿病の治療

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<インスリン抵抗性の改善>

インスリン抵抗性とはインスリンの働きが弱くなることです。

肥満が原因でなる糖尿病はインスリン抵抗性の改善が必要です。インスリン抵抗性が改善すると、インスリンの分泌量が整い、血糖コントロールの改善や血中の脂質異常の改善が促されます。

<治療は食事と運動が基本>

最大の治療は痩せることで、食事療法と運動療法を用います。

まずは、3カ月を目安にカロリー制限を行って食事療法に努め、3~5kgの減量を行い、次に運動療法を中心に毎月1~2kgの減量を行います。

食事療法によって摂取エネルギーを制限し、反対に運動療法では消費エネルギーを増やします。運動をして基礎代謝をアップすることは脂肪が燃えやすい体質、すなわち太りにくい体質を作ります。

<目標体重は?>

目標体重はBMI20~24となるように設定し、食事療法と運動療法を続けて薬物療法を用いなくても血糖コントロールが安定するようにしていきましょう。

<食事と運動で改善できないときは?>

どうしても減量と血糖コントロールの改善が難しい場合は、以下のような治療が行われます。

・ 食欲を抑える中枢性食欲抑制薬の使用

・ 体重増加の作用があるスルホニル尿素薬以外の薬物療法やインスリン療法

・ 食事療法と運動療法による減量と血糖コントロールの改善を入院生活によって管理する教育入院

・ 太る原因となる行動が何かをつきとめて改善を図る行動修正療法

・ 数日間、1日600Kcal以下の食事を行う超低カロリー食

・ 胃の一部を切除する、胃の内腔を狭くするバイパスを作る、胃バイパス術+小腸短縮術(ルーワイ手術)

5.治療上の注意点

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肥満の治療の基本となる食事と運動ですが、極端な食事制限や激しい運動は禁物です。

<リバウンドに注意!>

過度な食事制限による減量は継続せず、リバウンドを繰り返して痩せることへの抵抗力が生まれてしまうので、かえって体重コントロールが難しくなります。継続できる食事内容にして、徐々に減量を行うようにしましょう。

<ハードな運動は怪我のもと>

いきなり、ハードな運動を開始するのも筋肉や関節を痛めることや、合併症の悪化につながるおそれがあるので、運動制限の有無、自分に合った運動量、運動内容を確認してから開始するようにし、有酸素運動に加えて筋力をつけるための筋力トレーニングも取り入れるようにしましょう。

<停滞期を乗り切ろう>

減量を開始すると突き当たる壁が停滞期です。減量開始時は順調に体重が落ちますが、適応現象が起きるとなかなか体重が減らない時期に入ります。焦って、より厳格な食事制限と運動を行うこのではなく、適切カロリー内の食事と運動を継続して乗り切っていきましょう。

<油断は禁物!>

糖尿病の治療に薬物療法が開始されていても安堵せず、食事と運動による減量を継続するようにしましょう。薬によっては体重増加の作用があるものもあります。肥満を解消することで血糖コントロールが改善できれば、薬の量を減らすことも可能となります。

<太っている今が糖尿病改善のチャンス!>

糖尿病となり、膵臓のβ細胞が障害されてインスリンの分泌自体が減ってしまうと、体は脂肪や筋肉などの組織からエネルギーを作り出そうとして痩せ細っていきます。

糖尿病で肥満の方はそこまで糖尿病の症状が進んでいないことになり、まだ食事と運動での改善が見込める時期にあります。今こそ、自分の体としっかり向き合い、肥満を解消して糖尿病の改善、進行の予防を図りましょう。