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糖尿病の三大合併症のひとつである糖尿病腎症は、進行すると、人工透析なしでは生きることができなくなる病気です

人工透析は何となく聞いたことがあるでしょうか?街中にも人工透析用の送迎バスが走っていますよね。人工透析は腎臓の機能の代わりを果たす治療で、日本では2013年現在、31万人の方が受けています。日本で人工透析を受けている方の約4割が糖尿病性腎症なのです。

糖尿病にかかっている多くの方が発症する糖尿病性腎症。糖尿病性腎症になると人工透析のための通院や食事制限で生活自体が圧迫されることになるのです。

ここでは、糖尿病性腎症について一緒に詳しくみていきましょう。

1.糖尿病性腎症の診断はどうするの?

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糖尿病性腎症は、初期の頃は自覚症状がないまま進行するので、早期発見には検査が有効となります。

微量アルブミン尿、尿たんぱく検査

腎症になると尿の中へタンパクが排出されます。微量アルブミン尿検査は、尿の中に排出された微量のアルブミンを見つけ出す検査です。

腎症が進行し、腎臓の糸球体の破壊が進むに伴い、尿たんぱく値の検査へと移行します。

eGFR(推算糸球体濾過量)って?

血液中の老廃物であるクレアチニンの量を年齢や性別ごとに割り出した値で、腎機能の指標となる値です。

eGFRは腎機能が低下するほど値が大きくなります。より正確な腎機能を知るために、1日分の尿を貯めて検査を行うこともあります。

2.糖尿病性腎症って?

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糖尿病性腎症は慢性腎臓病(CKD)とも呼ばれ、心臓・血管病を伴うと相互に病状を悪化させることとなるので、心臓・血管病の予防・治療に留意して治療が行われます。

アルブミン尿検査・尿たんぱく検査とeGFR値の2つの検査値によって、病気の進行度は以下の5段階に分けられます。

第1期:腎症前期

・ 自覚症状なし
・ 尿アルブミン:正常値で30 (mg/gCr)未満
・ eGFR:30(mL/分/1.73㎡)以上

この時期では、腎症の予防のために、血糖コントロールの改善、高血圧の改善、食事は、1日の塩分量10g以下、タンパク質は体重1kgあたり1gを目安に摂るようにします。

第2期:早期腎症期

・ 自覚症状はほとんどなし
・ 血圧の上昇
・ 30~299 (mg/gCr)の微量のアルブミン尿
・ eGFR:30(ml/分/1.73㎡)

腎症の進行の予防、心臓・血管病の予防のために、血糖コントロールの徹底と血圧・血清脂質の管理、食事は1日の塩分量7g以下を目安にします。

必要に応じて血圧や血清脂質を下げるRAS抑制薬などの薬を服用します。この段階までは、治療によって腎機能が改善する見込みがあります。

第3期:顕性腎症期

むくみや食欲不振、息切れ、息苦しさなどの症状が現れ始めます。検査では尿たんぱくが陽性となり、腎機能の低下が急速に進み始めます。

・ 300 (mg/gCr)以上の顕性アルブミン尿
・ 0.5(g/gCr)以上の持続性タンパク尿
・ eGFRは30(ml/分/1.73㎡)以上

腎症の進行の予防、心臓・血管病の予防と治療のために血糖コントロールと血圧管理の徹底、血清脂質の管理、1日の塩分量5ℊ以下、タンパク質量は体重1kgあたり0.8ℊ以下の腎臓食と呼ばれる塩分とタンパク質量を制限した食事療法を行います。

必要に応じてむくみの軽減のために利尿剤を服用します。

この段階では、治療による腎機能の改善は望めず、症状の悪化の予防しか行えません。

第4期:腎不全期

・ 老廃物が血液中に溜まって尿毒症やネフローゼ症候群の発症
・ むくみ、貧血、易疲労性、顔色不良、吐き気・嘔吐、筋肉の硬直、こむら返り、手足の痛みやしびれ、夜間のかゆみ、腹痛、発熱など
・ eGFRは30(ml/分/1.73㎡)未満(尿たんぱく値の値に関係なく腎不全期)

心臓・血管病の予防や治療、自覚症状を抑えるために血圧・血清脂質の管理、1日の塩分量3g、タンパク質量は体重1kgあたり0.6ℊの腎臓食、むくみの軽減のために利尿剤の服用や水分摂取量の制限、インスリン製剤の使用が行われます。症状によっては人工透析治療が視野に入ってきます。

第5期:透析治療期

人工透析治療が開始されます。心臓・血管病や他の合併症の予防、治療を行い、透析方法に見合った食事療法とグリコアルブミンによるより血糖コントロールが行われます。

場合によっては腎臓移植も選択されます。

3.人工透析治療って?

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腹腔に透析液を入れ、胃や肝臓などを覆う腹膜を介して血液中の不要な老廃物と必要な電解質の調整を行い、汚れた透析液を外へと排出します。

透析液の出し入れは腹部に設置したカテーテルを通して行われますが、感染しやすいので自己管理がしっかり行えることが必須です。

人工透析は、生きるために必要不可欠な処置であり、腎臓移植を行う以外は一生続ける必要があります。人工透析には、血液透析と腹膜透析の2種類あります。

血液透析

自分の血液を透析器の中に通して、血液中の余分な老廃物を取り除き、足りない水分や電解質を補って再び体の中へと戻します。透析器では、1回あたり4~5時間、週3回の通院を行います。

血液透析を始める前には、血液の出し入れを行いやすくするためのシャントを作る必要があります。

腹膜透析

腹腔に透析液を入れ、胃や肝臓などを覆う腹膜を介して血液中の不要な老廃物と必要な電解質の調整を行い、汚れた透析液を外へと排出します。

透析液の出し入れは腹部に設置したカテーテルを通して行われますが、感染しやすいので自己管理がしっかり行えることが必須です。